ZenCash トレジャリーおよび投票モデルに関するアップデート
ZenCash におけるトレジャリーおよび投票モデルは、業界随一の洗練さを兼ね備えた自律分散型組織(DAO)です。私たち Zen チームは、ZenCash トレジャリーシステム実現にあたって、精巧かつ系統立てられたソリューションの提供を行うべく、IOHK および InfoPulse とともに研究に従事できることに対して、大変嬉しく思っています。
これらが実現するまでは、一時的な手段として、ZenCash により運営される法人によりマイニング報酬の 8.5 % が管理されることとなります。これは、インテグレーション、エンジニアリング、マーケティング、研究開発などに使用されます。
この資金供給モデルによって、たとえ市場が下がり気味であっても、ZenCash が成長し続けることができるようになります。
公正さと透明さを追求した DAO
以前 ZenCash と IOHK のパートナーシップ について紹介しましたが、ここでは2つの重要プロジェクトがありました。
- プログラムに沿ったリソースの分配を可能にする DAO トレジャリーおよび投票モデルの概念実証 (POC)。
- 次世代型のブロックチェーンソリューションを検討するスケーラビリティ研究。ZenCash の将来的な規模拡大に対応することを目的とする。
ZenCash における DAO トレジャリーおよび投票モデルの主な目的は、ZenCash の開発・維持における、非中央集権的で検閲耐性のある資金供給モデルを形成することです。
本モデルで採用されている、経済理論および暗号学における長年にわたる研究成果を活用することで、投票者の無関心を軽減することが期待されています。
投票者の無関心とは何でしょうか?アメリカにおける二大政党制を考えてみてください。仮に、伝統的な共和党、民主党の方針に対して必ずしも賛成する訳ではなく、むしろそれ以外の第三党で応援したい政党があるとします。しかしながら、こうした第三党には勝ち目がないと判断したならば、投票にあたっては共和党あるいは民主党に投票するか、投票に行かないということになってしまうでしょう。
ここにおいて、改ざん不能で、投票することで金銭的報酬を受け取ることができ、投票結果が最後まで決してわからないように秘密にされるという投票システムを考えてみてください。あるいは、投票することで、自らが応援したいプロジェクトに資金提供を行うことができるような投票システムをイメージしてください。こうしたシステムは、私たちの生活にどのような影響を及ぼすと思いますか?私たち Zen チームとしては、この ZenCash DAO トレジャリー・投票モデルは世界をより良いものとする上で役立つツールであり、様々なタイプの組織、ひいては国レベルにおいても応用可能であると考えています!
ZenCash DAO の仕組み
ZenCashのトレジャリーモデルは、インクルーシブで透明性が高く、その公正さが証明された経済システムです。また、システム内の活動に参加する上でのインセンティブが存在します。
- プロポーザル(提案・企画)に対する資金プールを用意。資金提供は、固定された数のブロック(およそ1ヶ月分)において行われます。これを、トレジャリー期間と呼びます。投票を行うためには、Zen のステークホルダーは、各トレジャリー期間の最初に一定量の ZEN を担保として差し出す必要があります。このステークとしての ZEN は専用のスマートコントラクトのアドレスに保管され、トレジャリー期間終了時に返却されることになります。ステークホルダーは担保として差し出した ZEN に応じた投票数を取得することができます。なお、ステークに基づく投票数の相対的規模に関しては、ステークホルダー自身知ることはできません。
- 誰でもプロポーザルを提出することができます。なお、スパム防止のため、提出に際してはわずかな費用が必要となります。
- Zen ステークホルダーによって、プロポーザルに関するレビューおよび投票が行われます。投票結果については、zk-SNARKS 技術によって秘密となります。
- 票はステークに基づいて計算され、投票内容が他人に公開されることはありません。
- 信頼できるユーザーに対し、投票権を委任することが可能です。
- 公正さを保つために、当選提案・企画が決定するまで投票 (途中) 結果は公開されません
- 票計数が行われます。ここでは、当選したプロポーザルに関して、得票数の多いものから順に並べ替えを行い、この順番に従って、各プロジェクトに対して資金を分配していきます。これは、資金プールの90%を使用するまで行われます。
- 資金プールの残り10%については、投票者への報酬として分配されます。トレジャリー期間が終了すると、担保としてのステークおよびステークに応じた報酬が、投票プロセス参加への対価として支払われます。
ZenCash DAO の公開時期について
ZenCash DAO のトレジャリーおよび投票システムの概念実証に関しては、IOHK が 2018 年第二四半期までに発表することになっています。Zen チームとしては、ここにおける数学的概念をプログラムとして実装していくべく、取り組んでいきます。また、先日ウクライナのキエフにおいて、ZenCash ソフトウェアアーキテクトである Alberto Garoffolo が、パートナーである IOHK および InfoPulse と直接セッションを設け、IOHK の研究内容に関して議論を行なってきました。非中央集権的な組織としては、技術的な詳細事項などに関するチーム全体の理解を確認すべく、実際にお互いが顔を合わせて話し合うということは重要なのです。
議論の内容をまとめると以下のようになります。:
- ZenCash のトレジャリーモデルに関して IOHK が行なっている研究開発は、エレガントなソリューションを提供するものである。
- 数学的コンセプトから技術的実装への移行は複雑なプロセスを伴うものであり、ZenCash が計画しているその他のプロジェクト(サイドチェーンなど)との相互依存関係も考慮する必要がある。
- トレジャリーモデル実装にあたっては、今回のようなセッションを再度行なっていく必要がある。
- ZenCash のトレジャリーモデルは、ZenCash が他のプロジェクトとの差別化を行う上でのユニークな特徴である
最先端の技術開発を行いながら、パブリックブロックチェーン上で公正なシステムを実現するという機会に携わることができ、私たち Zen チームは非常にワクワクしています!
トレジャリー研究に関するご意見があればぜひお聞かせください!